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アメリカ精神医学会によるDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)における躁病エピソードの診断基準には、以下のような状態表現が記載されています。
『気分が異常に高揚し、開放的・易怒的となる。また異常に亢進した活動・活力がある。 自尊心の肥大・睡眠欲求の減少・しゃべり続ける・複数の考えがせめぎ合う・注意散漫・目標指向性の活動増加・精神運動焦燥・困った結果につながる可能性が高い活動に熱中する(制御のきかない買いあさり・性的無分別・ばかげた事業への投資に専念する等)…などが目立つ。』
これらを平たく言いかえると「異常にハイな気分で怒りっぽく、異常な元気さ・過剰な行動がある。プライドが異様に高く、夜中も話し続けて複数の考えがぶつかり合い、注意力もなくイライラしている。そして多額の買い物や無駄な投資、セクハラ行為に及ぶ。」となります。このような人が身近に居ると大変ですね。実際、躁状態に陥ると昼夜問わず活動されるうえに怒りっぽく“上から目線”で尊大な態度になる場合が多く、対人関係が急激に悪化します。更に厄介なのは、「自分は元気で病気ではない」と確信していることです。精神的に辛く感じて自ら積極的に受診されるうつとは全く異なり、躁状態の人は自分から受診されることは少なく、周囲の説得にも応じないことも多いです。仮に受診をされたとしても医師の診断・助言に納得せず、必要な服薬も行われないまま症状が悪化し、その間に種々のトラブルを起こされる危険があります。治療は抗躁剤を含む感情を安定させる薬の服用ですが、即効性に乏しい薬種も多く、症状が緩和されるまでの間、周囲の人は忍耐強い対応を求められることになります。