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物の置き場所や置き方が細かく決まっている、体を洗う場所に自分なりの順番がある、本棚の本は大きさや内容によって分類し収納しないと気が済まない…などの「こだわり」は程度の差はあっても誰しもあるものです。それらが目立つと「自分は潔癖症だから」といった表現をされることがあります。“症”とつくと病気のようですが、一般的な『潔癖』と、治療対象になる症状との差異は何でしょう。
例えば一般の『潔癖』では日常生活の広い範囲に及んでもその程度はそれほど強固なものではないはずです。別の用事で急いでいるときには用事を優先して「こだわり」を緩めたりその時だけ止めたり…という調節ができます。
しかし症状になるとそうはいきません。「こだわり」が最優先でその他の活動は後回しとなり、納得できる完成イメージが得られるまで決まった手順を長時間(1時間以上)繰り返し、労力・必要物品も浪費します。「こだわりに手間暇をかけるのが自分でもばかばかしいと分かっているし、心身も疲れるから止めたいが、どうしても止められない」と自制できず、作業とその確認に時間をかけ過ぎるあまり出勤時刻に遅れたり本来の業務が停滞するなどして、社会生活に多大な支障を来たすことになります。
また、一般の『潔癖』よりも「こだわり」が“狭く深く”なれば、その反面「こだわり」以外については非常におろそかになったりします。すると、一部だけが非常に綺麗に整えられるが他の箇所は乱雑でかなり汚れている、というアンバランスさが目立つことになります。「こだわり」を完璧にしたいあまりに、同居の家族にも自身が決めた手順での作業を強要するなど周囲の人を巻き込む状態に発展するケースもあります。
このように一部の「こだわり」の活動に過剰な時間と労力を費やし、「こだわり」が崩される不安を打ち消すための手続き行動と確認を繰り返す結果、生活に顕著な支障が出てくる状態が強迫性障害と呼ばれ、この場合の「こだわり」は質・量ともに通常範囲の『潔癖』から大きく逸脱することになります。