各線・天王寺駅すぐ あべのハルカス22F
認知症にも診断基準があります。
その項目の一つが「記憶力および認知能力の低下によって日常生活活動や遂行能力に支障をきたす」という内容であり、どのような認知症の人でも程度の差はありますが同じように出てくる症状です。これを「中核症状」といいますが、具体的にはどのようなものでしょうか。
記憶力については、特に新しい情報についての記憶から損なわれることが多いです。
記憶する作業は記銘(覚える)・保持(記憶を貯める)・再生(記憶を取り出し思い出す)の各段階に分けられます。認知症の初期では、記憶の最初の手続きである記銘が損なわれてきます(記銘力低下)。
「思い出せなくなる」よりも厳密には「覚えられなくなる」と言えるでしょう。
認知能力とは思考・判断力を含む情報処理全般に関わる脳の働きのことです。見たり聞いたりした情報の意味を正しく認識し、必要に応じた適切な言動行動に反映させるまでの一連の流れをつかさどる力であり、普段意識はされませんが日常の活動において欠かせない能力です。その認知に関する主な症状が「見当識障害」「失行(しっこう)」「失認(しつにん)」です。
「見当識障害」になると、ここはどこか・今がいつか・どのような状況にあるか…などが分からなくなります。
日付があいまいになり、進行すると季節も分からなくなって暑い夏に暖房をつけたり厚着したりします。
場所については慣れた道で迷子になり、ひどくなると自宅に居るのに“自分の家ではない”と思い込んで外へ出たりします。
「失行」とは身体そのものは普通に動くのに、意図する行動ができなくなる状態をいいます。ズボンを頭から着ようとする、鍵をかけようとして鍵穴に鉛筆を入れる…などが例です。
「失認」とは目や耳など感覚器の働き自体は正常であるのに、視覚・聴覚など知覚の正しい認識ができなくなることです。知人の顔を見てもそれが誰なのかが認識できない、言葉は聞こえているのに会話の意味が分からない…などが該当します
以上のような徴候が半年を超える期間に続くと、認知症と診断される可能性が強くなります。