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MCIから認知症への進行を抑える効果については、抗認知症薬や生活習慣病の治療薬などにおいて確実な証明はされていないと述べました。
ただ、認知症になりやすい要因としては高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などが危険因子であることが判っています。
これらの危険因子を防ぐには「魚や野菜が中心の食事を控えめに摂る」「タバコを止め適度に体を動かして、動脈硬化を防いで血管を守る」などが対処法になるでしょう。
また、運動して身体の衰えを防ぐように、脳の働きを保つために頭を使う活動も必要と思われます。
例えば「新しいことを覚える努力をする」「いろいろなことを思い出す」「計画を立てて実際その通りに行動する」「日課・役割を持ち、生活の中で考える機会を作る」など意識して脳を使うことや、「ストレスの少ない範囲で人と接する機会を増やし、精神の活動を維持する」「他人との会話を多くして、脳を刺激する」など、他者との積極的な交流を通して社会的接触を増やすことが具体的な対策となるでしょう。
認知症は加齢による“脳という内臓”の衰えによる側面もあることから、ある程度年齢を重ねると対策をしていても必ずしも防げるわけではありませんが、健康に気をつける生活をしていれば認知力を含む心身が衰えるスピードを遅くできるかもしれません。
以上をまとめると「生活習慣病になりにくい生活をこころがけ、適度に脳を刺激し精神の活動を活発にして、MCI状態にならないようにする」ということが認知症の予防策と思われます。
そうした工夫の結果、認知症にならず健康に過ごせる期間を10年、20年…と延ばすことができれば良いのではないでしょうか。
みなともクリニック 院長 南智久