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ごく簡単にまとめると「気が散りやすく集中できない。落ち着きがなく、深く考える前に行動してしまう」などがADHDの人の特徴です。
例えば大切な物をすぐに忘れたり失くしたり、予定を立てることが不得意で時間がないときに多くの用事をしようとする結果うまくいかず、ルーズな人だと言われることがあります。
また、他人の気持ちや場の雰囲気を考えるより先に思ったことをそのまま言ってしまうなどして、言動行動がマイペースに見えてしまい「自己中心的だ」などと非難されてしまったりします。
幼少期は学校での失敗程度で大目に見てもらえていたのが、その後もミスとそれに対する叱責が続くと、思春期頃からは自己嫌悪・自己肯定感低下などが起こりやすくなります。
さらに就労すれば家族や周囲のサポートも無くなり、周りから「忘れっぽく責任感が無い、信頼できない人」などと思われて職場での評価が下がってしまったり、仕事で大きな失敗を繰り返し職が続かないなど生活上の困難が大きくなります。そうなると自力ではトラブルを解消できず自己否定的になって、不安感やうつ状態を伴う場合も少なくありません。
ADHDかどうかの判断をするための目安(診断基準)では、「不注意」と「多動性・衝動性」についてそれぞれ複数項目(6つずつ以上)の症状内容が6ヵ月以上続き、それらのために「家庭・学校・職場」のうち2つ以上の場面で支障がある状態が診断に該当するとされます。
また、その状態が幼少時から続く症状であったか(12歳までに症状があるか)も要点です。
このため、幼児期に「落ち着きなく怪我や事故が多い」、あるいは学童期に「忘れ物が多い」「指示が伝わりにくく最後までやり遂げられない」等を保護者や先生に何度も指摘されていた―など、養育者からの情報も診断には必要となります。
経過としては、育つ過程で周囲から評価されず嫌われがちになる体験から学習して自己コントロールを試みるようになると、落ち着きがない「多動性」は思春期の頃には収まってくることがありますが、「不注意」は成人後も持ち越される傾向があるとされます。
なお、ADHD診断の受け止め方については、「努力不足や怠けではなかった」とホッとする人から、病気であると聞いて気落ちされる人まで様々であり、気持ちの持ち方によってその後の対処や経過も変わってきます。
みなともクリニック 院長 南智久