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ADHDに影響する要因として、脳の「実行機能」に偏りがある可能性が推測されています。
実行機能とは目標を立てて計画し、工夫しながら実行していく能力です。
実行機能に支障があると「計画がうまく立てられない」「優先順位をつけられない」「複数作業の同時並行ができない」などから日常生活・社会活動に影響が出てきます。
また、記憶には情報を一時的に保管しておくものがあり「ワーキングメモリ(作業記憶)」と呼ばれています。
見聞きしたことを短期的に覚えて作業に反映させるものですが、ADHDではそれが十分に行えないという特徴もあるようです。
以上のことから、例えば「待ち合わせの日時と場所を覚えて、それに間に合うように準備をする」「過去の似た出来事を思い出して現在の行動や予定に役立てる」など、過去体験と現在状況の共通性を見出し効率よく行動する必要がある際に短期的な記憶が抜け落ちやすく、その結果ミスにつながったり話が通じにくくなるとされます。
更にADHDでは不安障害・躁うつ病・発達障害・学習障害など他の精神的な不調を伴うことが少なくないとされており、別の症状が目立つ場合にはADHDの存在が分かりにくい場合もあります。
別の精神の症状が少ない方が思考や行動の修正がより可能となりやすいため、改善を目指すにはそういった別の診断の合併が無いか、あっても軽度で標準程度の知的・学習能力および一定の情動安定が保たれていることが望ましいです。 実際の成功体験の有無も状態に影響します。
社会に適応する自信につながる自己肯定感、あるいは褒められた体験や達成感などが心の支えになるため、周囲の理解と適切なサポートがあるかどうかも重要なポイントとなります。
みなともクリニック 院長 南智久