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治療には薬物療法と心理療法があります。
薬物療法は内臓としての脳に作用してその働きを整えるものです。
ADHDでは、ドパミンやノルアドレナリンと呼ばれるような集中力・注意力をコントロールする脳内の物質(「脳内情報伝達物質」といいます)が適切に働かない状態が推測されています。
治療の中心となる薬は、その物質の濃度を上げて情報伝達をスムーズにする働きがあります。
効果があると「人の話を聞けて約束を忘れなくなる」「集中力が増して課題をやり遂げられる」「考えてから行動できる」といった改善の変化が現れてきます。
心理療法では、精神面・生活面に働きかけ、自分の特性と向き合いできることとできないことを理解して、ミスやトラブルが起きにくい行動パターンへ変えていくなどの修正を図ります。また、周囲の批判などからくる不安や気分の落ち込みについても適切な助言をして気持ちを落ち着かせます。
これらのような治療と併行して重要になるのは周囲による支援策です。
ADHDは脳の機能のかたよりで起こる面があり、治療だけで完全に治るというものではありません。
特徴である「不注意」は視野の広さ・感受性の強さ、「多動性」は行動力・自主性の強さ、「衝動性」は情熱の強さ・瞬発力の表れ…など別の解釈をすることにより、病気というよりも「特性」として肯定的に捉え本人の良い点や得意な面に目を向けるようにして、周囲がサポートできるのが理想です。
例えば職場であれば「業務の進捗について積極的に声掛けをする」「集中しやすい環境を作る」「得意なことを含んだ業務を割り当てる」などの工夫対応により、本人の特性を周囲が把握・理解したうえでその人が活動・就業しやすい環境を整えます。
もちろん周りがすべて代わりに行うなどの無理なフォローをするのではなく、できるだけ本人が自力でできるような支援が良いでしょう。
みなともクリニック 院長 南智久