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ある障害が基本にあることにより、それに続いて別の健康上の問題が起きるものを二次障害といいます。大人の発達障害の場合、その障害そのもの以外に何らかの精神的な二次障害が起きることが少なくありません。
PDDの人はもともと存在する認知や行動の偏りのため、対人関係上で劣等感・軋轢に悩まされていて長年の間ストレスを受ける結果、種々の精神不調が生じやすいです。また、脳機能の不均衡による行動の偏りが関わっているのに、周囲には努力不足と解釈されてしまうと、いっそうの努力を目指しても状況は好転せず、就労・生活において適応できない場面が多く続く結果、ストレスが重なり焦りや不安緊張感から心身が疲弊していきます。
特性を理解されずに不適切な努力を強要され続けると精神的に参ってしまうのです。
失敗や問題を繰り返してしまい周囲の理解や支援が得られないまま非難・叱責され続けると自信を失くすため、対人交流を避けて孤立したり不安感から外出しなくなったりします。
仕事や人間関係などについて心配をして、不眠傾向から昼夜逆転の生活になったり、ストレスを紛らわせようとしてインターネット・ギャンブル・飲酒などに過度に頼ると依存症のような状態になってしまう場合もあります。
以上のような経過から、二次障害としてうつ・社交不安・パニック症・依存症・睡眠障害など種々の精神症状を引き起こすことがあり、それら症状の強弱も軽度の疲れ・心身不調から明確な診断が下る病気の状態に至るまでさまざまです。
発達関連の問題よりも先にそれらについて医療機関に受診されるケースも多いですが、本態の発達特性が隠れた原因となっている場合は、表面上の不眠や不安だけを捉えて対応を工夫しても症状の改善が得られにくいばかりか二次障害が悪化することもあるため注意が必要です。
みなともクリニック 院長 南智久