発達障害者の職場適応訓練-心療内科・精神科 みなともクリニック-

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『発達障害者の職場適応訓練』

2020年4月号

ドクターコラム2020年4月号「発達障害者の職場適応訓練」前回では職場からの支援策について述べましたが、周囲からの配慮は常に与えられるとは限らないため自身でも対処を講じる意識が必要です。

 

例えば、社会性の乏しさからどのような言葉をどのタイミングで言えば良いかが分からないことがあります。
わざとではなく悪気もないのですが時機が合わない発言をしてしまい、周囲の雰囲気から浮いてしまったり誤解されたりします。また、職場の上下関係が十分に理解できず、上司や年配者に馴れ馴れしい態度をとったり、「上から目線」な言い方で注意したりして相手を怒らせてしまうこともあります。
これらのような事態を避けるためには、仕事での言葉遣いや指示注意の受け方など、職場でのコミュニケーションを円滑にするためのマナーを習得する必要があります。

 

具体的には会話の基本的パターン(挨拶をする・適切な敬語を使う・相手の話をさえぎったり自分ばかりが話さない等)を練習したり、非言語行動(視線・姿勢・体の向き・相手の体との距離等)やお礼・お詫びを言うタイミング(「ありがとう」「すみません」等を適切な時機に述べる等)、「場の雰囲気」の読み方(表情の理解・態度や口調の捉え方等)などに関して今までの経緯を振り返り、適切な行動を強化するようにします。

周囲に協力を頼んでロールプレイング(いわゆるソーシャルスキルトレーニング)を通して身に付ける練習をしてみるのも一法です。

 

また、仕事では業務の重要度を考え優先順位をつける判断力や、状況に応じて周囲と協同する臨機応変さが求められます。このため、業務に際しては細かいこだわりにとらわれ過ぎたり、必要以上な完璧さは求めないよう意識することが必要です。また、余裕が無いときには頼まれても安請け合いをせず、守れるかどうかわからない約束はしない、あるいは計画通りに進みそうにない場合には可能な限りの期限延長や周りの支援を求めるようにします。

 

協力を得られる相手は多いほど良いため、以上のような工夫を自分なりに心掛けた上で、職場を含む社会の中で一人でも多くの理解者を得るようにしたいものです。

 

みなともクリニック 院長 南智久

 

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