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2020年8月号
職場におけるメンタルヘルスのケアには、「精神的な不調を未然に予防する」一次予防、「症状を早期に発見・治療をする」二次予防、「病気による休職者への復職支援と再発防止を目指す」三次予防があります。
一般の身体的な定期健康診断が症状早期発見の二次予防であるのに対し、ストレスチェック制度は「労働者の職場における安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること(労働安全衛生法第一条より)」という観点で施行され、不調を未然に防ぐ一次予防に該当します。
本制度は精神の症状をチェックするのではなく、症状の前段階である労働者の心理負担になりうるストレス因子の評価が目的となります。
すなわち、既に症状が出ているメンタル不調者を見つけるのではなく、それ以前に不調の基になるストレス因子を把握し低減を図ることで、メンタルヘルス不調の発生を未然に防止するのが趣旨です。
そして、メンタル不調の前に労働者と企業がストレスの存在に気付き、それへの対策をして精神の不調化を予防するために行われるものです。
ストレスチェック制度は主に「1.チェックの実施」「2.結果に基づく医師による面接指導」「3.結果の集団分析」という3つの要素で構成されます。
「3」は努力義務ですが、「1」と「2」は50人以上の事業所では必ず実施しなければなりません。
まず、個人へのアプローチとして「1」により個々のストレス状況をグラフなどで視覚化したものを検査結果として本人に通知し、ストレスへの気付きを促して、自らストレス軽減へ取り組むよう促します。また、「2」では高ストレスと結果が出た労働者に対し面接指導を行い、その結果に基づき労働時間や業務負担の軽減など就業上の措置を講じることにより、仕事上のストレスの軽減を図ります。
「3」は集団へのアプローチとして行われ、個人のストレスチェック結果を各部署などの集団ごとに集計し、職場単位のストレス状況とその要因を把握・分析し、働きやすい職場づくりに反映させるものです。
みなともクリニック 院長 南智久