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2021年2月号
前講まではストレスチェック制度について述べてきましたが、各職場においてメンタルに関するケアはどれくらい実際に行われているでしょうか?
厚生労働省が提唱する“心の健康づくり計画の策定”では、心の健康対策(メンタルヘルスケア)のためには「3つのメンタルヘルス予防対策」と「4つのケア」が同時に継続して行われる必要があるとされています。
まず「3つのメンタルヘルス対策」とは不調の予防策のことであり、どのタイミングでメンタルの不調予防を行うかという考え方です。ストレスに対する予防は1次~3次までの3段階に分かれます。
1次予防は「未然に防ぐ」段階です。メンタルヘルスに不調が起きる前に予防するものであり、良い睡眠をとったりリラックスできる工夫をするなどして職員自身が健康的な生活習慣に努める姿勢が該当します。
残業低減や有給休暇取得の励行、ストレスマネジメントの研修や、前回まで詳説しましたストレスチェック制度などもこれに含まれ、メンタルヘルスに対する個々の意識を高めるものです。
職員が自分自身のストレス状態に気づき個人のストレスをマネジメントし、また企業が職場のストレス状態を把握しマネジメントする、その双方が並行して進むことが理想です。
2次予防は「早期発見・早期対応」の段階で、不調が現れた職員を早めに発見して適切な措置を行います。
職場では不調に気づいた際に相談できる窓口の設置や、産業医との面談機会を設けるなどが工夫となります。
職員のメンタル的な異変に早く気づき、気兼ねなく相談できる職場風土を目指します。
メンタル不調は対応が遅れるほど改善に時間がかかることになるため、深刻化する前に企業が支援をするなど、本格的な不調に陥らないような対策を積極的に講じることが重要です。
3次予防は「職場復帰支援」の段階です。不調により休職した職員の復帰をサポートし、復職をゴールとして目指す支援を行います。更には心身不調に陥った職員のその後の再発を予防します。
メンタル不調によって休職した場合、過去に休職歴がある職員の再休職率がより高いとされているため、復職過程では無理をしないような業務工夫を継続して図り、不調再発や離職を防ぐための慎重なフォローをします。
みなともクリニック 院長 南智久