各線・天王寺駅すぐ あべのハルカス22F
2021年3月号
前講の3つのメンタルヘルス予防策に並ぶ“4つのケア”は、
「1.労働者によるセルフケア」
「2.管理監督者による職場ラインケア」
「3.産業医や衛星管理者などによる産業保健スタッフ等によるケア」
「4.職場外の専門機関による事業場外によるケア」であるとされ、誰がメンタルヘルスケアを行うかを示すものです。
まず、1.の「セルフケア」とは自分自身でできる範囲で健康状態を維持することです。
働く人が自らのストレスに気付き予防対処し、自分の健康を自分で守るものです。
長時間の過重な残業を避ける、睡眠を十分にとる、悩みを人に相談する、気分転換できる活動を見つけて行う…などが具体的な対応となります。また、ストレスやメンタルヘルスについての正しい理解、以前に解説しましたストレスチェック等を活用した“ストレスへの気づきと対処”も重要となります。
ただ、心の健康状態は目に見えにくいものであり、病気になっていない人の場合「何が健康であるか」の判断は個々に行う必要があり、正しい知識がないとうまく対応ができないため、職場では職員への情報提供や教育研修などにより支援をします。
ストレスへの気づきを促すためには、ストレスチェックの実施が重要であり、特段の理由が無い限りすべての職員が受検することが望ましいです。ですがチェックも常時行われるものではないため、普段から自身の反応にはある程度自分で気付く必要があります。
個人差はありますが、持続するストレスによる一般的な反応変化としては、ストレス状態が軽く自覚も少ない段階の警告反応期(何となく体がだるい・ミスが多くなるなど)から始まり、ストレスを自覚し疲労を感じながらもそれに負けないよう反発して頑張って活動を続けようとする抵抗期(心臓がドキドキする・胃が痛むなど)を経て、それでも負荷が続くと心身共に疲れ切って病気に移行する疲憊期(心身症・うつ病の状態)に至る…という流れがあります。
みなともクリニック 院長 南智久