各線・天王寺駅すぐ あべのハルカス22F
2021年6月号
ストレスに関する職場側の取り組みとしては、職場におけるストレス要因の軽減を目的とした経営者・管理職による「ストレスマネージメント」が中心となります。事業者が責任者となり、中間管理職が実務を担当して、快適な職場環境の形成・作業環境の良好な状態の維持管理・作業方法の改善などを行います。
労働者自身で心の負荷への対処がうまく行えることにより、個々におけるストレス耐性が強化されることが基本です。しかし、労働者個人だけでは就業環境におけるストレス原因を完全に取り除くことは困難であり、組織によるマネージメントが適切に行われないと個々のストレス対処の効果も上がりにくいものです。
この点において「ラインケア」は職場の経営者・管理職が行うべきメンタルヘルス上の重要な対策であり、これを実現するためには職場環境等の改善が必要になります。
環境改善は主導部署・形態により、
(1)「主として事業者が行うもの」
(2)「主として管理監督者が行うもの」
(3)「従業員参加で行うもの」 に分かれます。
(1)は事業者が労働者のメンタルヘルスに影響を与える職場環境等を評価し、対策を立案・実施する方法です。
会社の経営方針に沿った計画・対策での立案が進めやすい利点がありますが、反面では現場の労働者が感じている環境実態を、事業者がどの程度まで実感・把握できるかが問題となります。
(2)は各職場の管理職などの管理監督者に担当部署毎の対策を立案し実施してもらう方法です。
これは事業者の経営方針を踏まえつつ、職場の実態に即した対応が図りやすくなる利点がありますが、もし管理監督者自身のマネジメント手法に問題があると改善が得られないこともあります。
(3)はストレスチェックの集団分析結果などを管理監督者・従業員で共有し、ディスカッションしながら職場環境の評価・改善を検討する方法です。
この形態では従業員が参加することで現場に即した改善策が可能となり、自身の意見が反映されることからモチベーションが高まるでしょう。ですが、特定部署の環境最適化によってひずみが生じた場合、他職場に悪影響が及ぼされたり、組織の方向性が拡散してしまう恐れがあります。
みなともクリニック 院長 南智久