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2021年7月号
職場環境改善のためには、まず現状を調査し環境評価をしたうえで、上長等の管理者・産業保健スタッフを含む環境改善のためのチームを作り、関係するスタッフには必要に応じ教育研修を行います。
そのチームには労働者も参加し討議を行い、環境改善のための計画を検討します。そしてそれに沿った改善を実施し、進捗を確認します。
特に仕事のしにくさからくるストレスは疲労感を増大させ、労働者の健康問題はもちろん、生産性低下や事故にもつながる恐れがあるため、重要な改善対象となります。
必要以上の長時間労働・過大な作業量を避け、仕事の量や責任に見合うような裁量権や報酬が与えられるようにする…などが職場環境改善の方法となります。
アメリカ国立労働安全衛生研究所は職場環境の改善を通じたストレス対策として、
「仕事量に合わせた作業ペースの調整ができる」
「労働者の生活に合わせて勤務形態の配慮がなされている」
「仕事の役割や責任が明確である」
「仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確である」
「職場で良い人間関係が保たれている」
「仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようデザインされている」
「職場での意志決定への参加の機会がある」
…などの事項をあげています。
改善対策の始め方が具体的に分からない際には、まず各労働者が感じている働きにくさに注目したり、職場レイアウトなど物理的な環境の改善から着手してみても良いでしょう。
労働者がメンタルヘルス不調により十分に働けなくなる状況になれば、本人の辛さはもちろん、職場にとっても大きな損失となります。
高いストレスが続くとうつ病などの疾病罹患にもつながり、休職や自殺のリスクが高まる恐れもあります。
そのような深刻な事態となる前に、労働環境や職務上のストレスを改善する立場にある管理監督者が、職場改善のための修正を意識して行うことが重要です。
みなともクリニック 院長 南智久