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2021年8月号
メンタルヘルスのケアは管理職だけに任せても十分ではないことも多いため、職場の組織全体でストレスとなりうる就業環境を見直し、個々の職員のストレス反応を防ぐ対策を講じることが重要です。
例えば、長すぎる業務時間は改善すべき大きなストレス因子です。
極端な長時間労働が続くと、うつ病をはじめとするメンタルヘルス不調の発症リスクが顕著に高まるとされています。長時間労働を避けるためには、あらかじめ退社時刻を自分なりに設定し、それから逆算して仕事をこなしていくことが重要です。
優先順位を意識した効率的な段取りや、各業務の所要時間を想定した具体的なスケジュール管理等が必要となってきます。仕事は常に自己管理の範囲内でできるものではなく緊急対応によりやむを得ず予定外の時間がかかる場合もありますが、「周りが皆残業しているから」「何となく帰りにくい雰囲気だから」などの理由だけで不必要に職場に残るのは止めた方が良いでしょう。
連日・長期間の残業など長時間労働が続くと、身体の緊張状態や精神疲労が強まり、運動不足・夜中の飲食・喫煙・飲酒など不健康な生活習慣になりやすくなります。
また睡眠や休養の時間が減少するため疲労した心身を休ませることができず、家族・友人との活動時間がとれずに人間関係における衝突も生じやすくなるでしょう。
業務に必要な集中力が低下し、かえって労働生産性が落ちることも考えられます。
以上のような弊害を無くすため、不要な長時間労働を防止し仕事量をコントロールする対策としては
「長時間の会議や余分な資料作りなど不要な業務について見直す」
「業務が一部の職員に偏っていないか確認し、適切な人員配置を行う」
「部下が帰宅しやすいよう、管理職も業務を早く終了する」
「“ノー残業デー”を作るなどして、会社全体で残業削減を目指す」
「年休を取得しやすい環境を作る」
などが挙げられます。
みなともクリニック 院長 南智久