各線・天王寺駅すぐ あべのハルカス22F
2021年5月号
3月号コラム掲載の“4つのケア”のうち「2.管理監督者による職場ラインケア」は、上司が部下の問題に気づき、職場環境の把握と改善・労働者からの相談対応・職場復帰の援助などを行い、必要な配慮や支援をするものです。
この通称「ラインケア」は会社の「安全配慮義務」に相当します。安全配慮義務とは「事業者が労働者に負っている労働契約上の債務で、事業遂行のために設置する場所・施設設備または労働の管理にあたり、事業者が労働者の生命・健康を危機から保護するよう配慮すべき義務」です。
管理監督者に該当する上司は部下である職員の状況を日常的に把握する立場にあることから、個々の職場におけるストレス要因を把握し、それによる不調変化を早期に見つけるよう努めなければなりません。予兆としては、普段とは異なった不調な様子や行動を示すことが多いです。
「遅刻早退・無断欠勤が増える」
「判断が鈍くなり能率が極端に落ちる」
「会話・活気が普段よりも明らかに乏しい」
「報告・相談・職場会話がなくなる」
「ミスが目立つ」
「服装が乱れる・衣服が不潔であったりする」
…などが目立つような「いつもと違う」部下に早く気づき、早期に適切なサポートが行われるのが理想です。そのためには、日頃から部下に関心を持って、各人における普段の行動様式や対人関係の傾向について知っておくことが必要です。また、部下が上司に相談しやすいような環境・雰囲気を作ることも重要です。
そして、部下から相談があれば積極的に傾聴し、組織として早期に介入して、場合によっては事業場内の産業保健スタッフなどに受診を促すなどして専門家に引き継ぐことも不調を深刻化させない上で大切です。
上司が部下の「普段の姿との違い」に注意を払い相談対応をしつつ、職場労働環境に留意した適切な対応が行われることが理想です。
みなともクリニック 院長 南智久